絵画専攻領域3年 絵画b選抜展「爪を切る/剥がす/捨てる/比べる/歯で」
会期:2021年9月14日(火)~22日(水) 10~17時 土・日休
会場:東京造形大学内 10号館1F CSギャラリー
出品:LEE DAYOUNG、氏家 朱里、田村 美琴、中村 璃安、川上 元哉
テキスト:藤谷 まゆ子
授業担当教員:末永史尚、豊嶋康子、片山真妃、高橋大輔、高橋淑人
「夢」は私のために創られた映画だと常々思う。
何故なら、夢のモチーフは 経験、或いは 経験によって生まれた想像 が創り出していると考えるからだ。「夢」と「描くこと」は似ている。
特に油絵具であればより近しく感じる。
ただの描線が夕焼けに変わる。
時間が経つほどに形は変わり、さっきまで一緒にいた友人は気づけば猫になっていた。それらはオートマティックに造られる。
描いて削り、動かす。
少しづつズレてゆく。
ふと湧いてきたものを選び、定める。
私は私を剥がし、画面越しに会話をしながら、瞑想した気持ちになる。
氏家 朱里
展示のテーマ、そしてタイトルを自分たちで決めることになったため話し合いを行ったのだが、なかなか5人の作品に共通することばが見つからない。ひとりひとりが、違った視点を持ち、自分自身を表現するために異なった方法や目的をもって絵画と向き合っている。だから、それぞれの個性が光る選抜展で、同じテーマで展示をするということはあまり相応しくないように思えた。
そこで、話し合いの途中でふと生まれた「私は絵を、”爪を切る”ような感覚で描いてるのだけれど」という発言から会話が広がり、自分自身と爪、そして作品との関係について5人は考えを述べていった。「爪を」に続くことばは、全員ばらばらで、自分自身と作品の関係性や、作品への距離感もそれぞれで全く異なっているようだ。 このことばへの感覚の違いが、私たちの個性なのだと、そしてその個性が、絵画bクラスにおいてとても重要なことなのだと感じたため、「爪」から始まる、各々が意識していることばをそのまま展示タイトルとしたのである。
私たち絵画bクラスが絵画表現において大事にしているそれぞれのことばを知って欲しいと考え、ステートメントを添えて展示することにした。
絵画専攻領域3年 絵画b 藤谷まゆ子